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危機遺産リストへの記載とその理由

「顕著で普遍的な価値」をもつと、世界遺産委員会によって認定されたものが世界遺産リストに登録されます。しかし、世界遺産に登録されたもののその「顕著で普遍的な価値」の保持が危ぶまれると「危機にさらされている遺産(危機遺産)」のリストに記載されることになります。

 

危機遺産リストに登録されると、世界遺産基金からの資金支援や国際的な支援を受けることが可能となります。政情不安や財政難に苦しむ国家にとって、危機遺産リストへの登録は大きな意味を持ちます。また、危機遺産リストに登録されたことで、近隣の開発に歯止めをかける圧力となることもあります。

 

文化遺産

 

●「決定的危機」

 

・ヴィエリチカ岩塩坑(ポーランド)・・・湿気により岩塩のモニュメント類が劣化。

 

・バーミヤンの大仏・・・ターリバーンにより破壊。

 

・古都ザビード(イエメン)・・・コンクリート建築の増加によって伝統的な景観が失われつつある。

 

・フィリピン・コルディリェーラ・・・棚田群後継者不足や品種改良の弊害など多面的要因によって二千年来の景観が崩壊しつつある。

 

●「潜在的危機」

 

・ドレスデン・エルベ渓谷・・・橋の建設計画が持ち上がり、世界遺産リストからの抹消が継続審議されている。

 

・ドゥブロヴニク旧市街(クロアチア)・・・旧ユーゴスラビア紛争の影響。

 

・チャン・チャン遺跡地帯(ペルー)・・・建材である日干し煉瓦の風化が進行。

 

自然遺産

 

●「決定的危機」

 

・ガランバ国立公園(コンゴ民主共和国)・・・キタシロサイが激減。

 

・スレバルナ自然保護区(ブルガリア)・・・農薬の汚染が深刻化し、世界遺産登録抹消も検討。

 

・ヴィルンガ国立公園(コンゴ民主共和国)・・・ルワンダ内戦によって難民の流入が深刻化。

 

●「潜在的危機」

 

・ニンバ山厳正自然保護区(ギニア/コートジボワール)・・・鉱山開発が環境破壊につながっている。

 

・アイル・テネレ自然保護区(ニジェール)・・・トゥアレグが起こした内戦に脅かされた。

 

・マノヴォ=グンダ・サン・フローリス国立公園(中央アフリカ)・・・密猟が横行し、公園スタッフの殺害なども起きた。

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