世界遺産候補 平泉の文化遺産
岩手県平泉は、平安時代末期、奥州藤原氏四代が約100年にわたって文化を築いてきた地です。都の文化を受容しながら、仏教寺院・浄土庭園など、独自の文化を発達させました。平泉の文化遺産は、平成13年に「暫定リスト」に登録されました。岩手県では、平成20年の世界遺産登録を目指してさまざまな運動に取り組んでいます。
藤原氏の文化としてまず思い浮かべるのは、中尊寺でしょう。天台宗特有の一山寺院です。850年に慈覚大師円仁によって開山されたと伝えられます。その後、奥州藤原氏の初代清衡が本拠地を平泉に移し、造営したのです。大長寿院は、高さ15メートルという大きな建物で、中には、高さ9メートルの阿弥陀如像が
本尊として祀られています。平泉を侵攻した源頼朝が、大長寿院をみて驚き、鎌倉に永福寺を建てたといわれています。清衡は数々の大伽藍を建立し、1124年に金色堂を完成させました。金色堂は国宝となっています。他に類を見ない、平泉文化独自のものです。
中尊寺と同様、平泉文化を代表するのが、毛越寺です。中尊寺と同じ、慈覚大師円仁に開山されたと伝えられています。当時は、お堂や塔が40以上、僧侶の生活する建物が500以上、という大きなものでしたが、火災により当時の建物は残っていません。大泉が池は、海岸の美しさを表したもので、現在のものは発掘調査によって復元整備されました。平安時代の庭園造りの秘伝書『作庭記』に忠実に作られたものです。遣水が緩やかに蛇行し、この世の極楽浄土のようです。特別名勝の指定を受けています。
その他、倉町遺跡、金鶏山、柳之御所遺跡など、平泉の文化遺産は奥深い魅力を誇っています。すでに世界遺産に登録された京都や奈良に続き、奥州の独自の文化として是非、世界遺産への登録が実現することを願います。